健康経営はじめの一歩
従業員が意見を出し合い、斬新な健康施策を実現。
2017年に「健康事業所宣言」にエントリーして以来、従業員の健康を経営戦略のひとつとして位置づけ、健康管理・健康促進に取り組んできた長津工業株式会社。従業員の方に末永く、イキイキと働いてもらうためには「健康」が最重要と考え、運動・食事の二つの側面からユニークな取り組みを行われています。今回は、健康経営に尽力されているキーパーソン2名に、取り組み内容や成功事例についてインタビューしました。
健康事業所宣言で“選ばれる会社”へ、差別化にも有効。
健康経営に取り組まれたきっかけを教えてください。
鈴木さん
元々、定期健康診断の受診をはじめ、従業員の健康保持のために最低限のことは行っていました。より一層力を入れていくようになったのは、2017年に「健康事業所宣言」にエントリーし、2018年から協会けんぽ京都支部の健康講座を受講しはじめたのがきっかけです。
古川さん
その背景には、少子高齢化問題とそれに伴う労働力不足が影響しています。採用した従業員に元気に長く働いてもらうことで労働力不足が補えますし、従業員の健康を健康視点で考えた施策があると優秀な人材獲得を有利に進められると考えたのです。
鈴木さん
その推察通り、若い世代の人たちは健康意識が高い方が多く、健康にまつわる取り組みの数々をポジティブに捉えてくれます。会社見学の際に、施策のひとつでもある社内食堂で食事をしてもらうのですが、「食習慣までサポートしてもらえる」と好反応を示してくれたのが印象的でした。
健康経営に取り組むまでに、従業員の健康に関して課題に感じていたことはありますか?
鈴木さん
健康に対する意識に個人差があったことです。健康意識が高い従業員がいる一方で、特に意識していない無関心層が多いのが課題でした。それを受けて、私たちが目標に掲げたのは、健康意識を持ってもらうことです。従業員一人ひとりの生活習慣に関与して、改善点を改めさせるのは極めて難しいですが、テレビの健康番組のように「健康って楽しいよ、簡単に始められるよ」と喚起する場所を作ることはハードルが低いと考えました。
古川さん
健康は自己責任という見解もありますが、その反面、会社で過ごす時間が人生の大半を占めるのも事実です。そこで怪我をしたり、不調があったりすると、その後の人生に影響を及ぼしかねませんよね。会社が従業員の健康を大切にするのは当然のこと。一人ひとりの健康意識が少しでも向上する環境を整備することは不可欠だと感じています。
運動と食事、2つの側面から健康対策を。
健康経営を行っていく中で、具体的にどのような取り組みを行われたのですか。
鈴木さん
従業員一人ひとりのパフォーマンスに貢献したいという想いで、2023年にN-Plaza(厚生棟)を完成させました。1階は更衣室と洗濯室、シャワー、2階は社員食堂、3階は自由に使える健康器具や卓球台、リラックスチェアが置かれたコミュニティスペースで構成されています。まず食事に関しては、社員食堂が完備されたことで、定食メニューが提供できるようになりました。以前は仕出し弁当だったこともあり、あたたかく健康な食事は従業員のモチベーションにつながっています。
スペースを設けています。
古川さん
コンビニで安く済ませようと思うと、揚げ物に偏るなど、バランスが崩れがちですよね。食堂のランチは健康的でバランスが良く、何よりもご飯・汁物が付いて450円! ご当地フェアや季節のフェアといったイベントもあるので、毎日の利用が楽しみな従業員が多くいます。
鈴木さん
運動に関する取り組みでは、部署対抗卓球大会が恒例行事になっています。会社から予算をもらって、魅力的な景品を用意して開催することもあり、参加者全員が本気モード。大会前になると、参加者が3階のコミュニティスペースにこぞって集まり、練習に精を出しています。当初は運動習慣を身につけてもらうことが目的でしたが、従業員間のコミュニケーション向上、ひいては生産性の向上にもつながる思わぬ収穫がありました。
従業員の姿が!
古川さん
また、生活習慣病のリスクが高い従業員に対して協会けんぽが実施する「特定保健指導」を受けています。総務部が率先してサポートした甲斐もあって、今年も対象者全員に受けてもらうことができました。
鈴木さん
特定保健指導は、対象者にとってはネガティブな話題と捉えられがちです。それゆえに、目の前の業務を優先されるなど、書面交付だけでは積極的に受診しない方もいるかもしれないと考え、総務部が率先して取り組み意義・目的を説明して回りました。さらに、業務中に受診できるように各部署の役職者にも掛け合いました。
古川さん
受診した従業員の中には、保健師からのアドバイス等をもとに定期的に通院して食生活や運動習慣を見直し、30kgの減量を成功した方もいます。本人曰く、「サイズダウンしたから、作業服を買い替えないと!」と嬉しい悲鳴を上げているそうです。
従業員の健康意識向上のために様々な取り組みを実践
-
健康講座
-
健康器具の
レンタル -
健康器具の
設置 -
ラジオ体操の
開催 -
インフル
エンザ
予防接種の
全額負担 -
喫煙所の
分煙 -
ストレス
チェックの
実施 -
アルコール
除菌液の
設置マスクの
配布N-Plazaが、従業員たちの健康意識向上の拠点に。2階の食堂では食事改善、3階のコミュニティスペースには従業員が運動を習慣化しやすいフィットネスコーナーや卓球台を整備しています。
健康にまつわる施策アイデアを、経営陣が後押し。
健康に関する取り組みを、どのようにして波及・啓発していかれましたか。
古川さん
徒労で終わるのが一番よくありませんから、弊社では協会けんぽ京都支部が実施する健康講座、健康器具レンタルといった小さな施策から始めて、だんだんと拡張していくスタイルをとりました。具体的には喫煙所の屋外分煙、インフルエンザ予防接種の全額負担、コロナ禍では顔認証検温システムやマスクの無償支給など様々な施策を実施しました。また、健康器具やリラックススペース、食堂設備などの福利厚生設備導入に際してはアンケートをはじめ従業員の意見を取り入れるようにしています。これらがすべて実現できたのは、経営者層がアンケート実施を通して従業員の声を拾ってくれる風土があったからだと感謝していますね。
従業員からのリクエストで設置された
トレーニングスペース。
鈴木さん
従業員を巻き込むうえで大事なのは、楽しく自分事として取り組める施策を選ぶことです。例えば、InBody(インボディ)付きの健康講座は、身体の状態や改善点がつぶさに分かる人気コンテンツ。今年度も従業員自らアクションして、「自分の方が健康だ!」「昨年より結果が良くなっている!」と盛り上がる姿も見られ、健康リテラシーの向上を実感しています。
古川さん
また、活動やイベントの戦略が立てやすいように、協会けんぽ京都支部からサポートをしていただきました。例えば、毎年発行してくださる「事業所健康度カルテ」では従業員の食生活や生活習慣が“見える化”されます。若年層の朝食欠食率が高い点が弊社の課題のため、社員食堂が食生活を改める一助になればいいと考えています。
協会けんぽ京都支部からのアドバイスが
取り組みの指標に。着実に健康課題を改善、そして次のステージへ。
健康経営を推進したことで、貴社にどのようなメリットをもたらしていますか。
鈴木さん
従業員の健康意識は向上し、毎日元気に仕事をしてもらえているのではないかと思います。採用活動の面においても、健康経営は差別化戦略になり、企業価値を高めること=ブランディングにもつながりました。同時に、食事と運動以外にも、心のケアに力を入れていかなければならないという課題も見えてきました。
古川さん
直近だと、メンタルケア意識向上のため、協会けんぽ京都支部が実施する「マインドフルネス」がテーマの健康講座を受講しました。
貴社にとって健康経営とは、どのような意味を持ちますか?
鈴木さん
健康経営を始めてから、従業員間のコミュニケーションの機会が増えるなど、メンタル面にもプラスに働いていると捉えています。会社で過ごす時間が起きている時間の約半分を占めるからこそ、職場が従業員のみなさんにとって心地いい環境であってほしいと願っています。
古川さん
従業員に長く働いてほしい、この想いが健康経営の軸にあります。毎朝、「仕事が嫌だなぁ」とか憂鬱な気持ちで出勤するのはストレスでしかないですよね。「メンチカツカレーが楽しみ!」というような小さなことでもよいのですが、モチベーションを上げて働いてもらえる環境を整えていきたいと思います。
最後に、これから健康事業所宣言をして、健康経営を取り組まれる事業所様にメッセージをお願いいたします。
鈴木さん
健康に対する活動は、短期間で効果が出るものではありません。しかし、未来への投資と考えて根気強く続けると、社内の雰囲気は間違いなく変わってくることをひしひしと感じています。今後も、従業員のみなさんに気持ちよく働いてもらえるように、引き続き健康経営を推進していきたいです。
古川さん
かくいう弊社も、最初は「本当に効果が出るのか?」と疑問を持ちながらスタートしました。ラジオ体操に参加する。実際に健康器具を利用する。卓球大会に参加する。そうしていく中で従業員たちの健康意識が高まり、現在に至ります。まずは、できることからスタートすることで、自然と健康の輪が広がっていくのではないでしょうか。
私たちの健康増進
鈴木敬悟さん
「長津工業に転職してから、20kgのダイエットに成功しました。ひとつは規則正しい生活が送れるようになったこと。もうひとつは、退勤後の自由な時間にバスケットボールの練習をするなど、運動習慣が身についたことが好影響をもたらしています」
古川遥香さん
「健康講座で、夜遅い食事は不健康であること、特に白米は、夕食時に食べると代謝が悪くなっているので太る原因になることを知りました。夕食時に白米を食べるときは、子供用のお茶碗で食べるなど、無理をしすぎない食事制限で3kg痩せることに成功しました」
ご協力、ありがとうございました!
今回、ご協⼒いただいたのは…
長津工業株式会社
1960年に創業。建設機械や産業機械の部品を製造する企業。主に、油圧ショベルの履帯やホイールローダーのトランスミッションなどの部品を提供しています。徹底した品質管理と先進技術を追求し、国内外に多数の工場を有し、様々な業種にわたる製品を提供しています。
京(きょう)から「健康事業所」になりませんか?参加企業募集中!
さらに!
認定ロゴマークの
ダウンロード
健康宣言された京都府内の事業所様は、健康経営企業の認定ロゴマークをダウンロードしていただけます。
名刺やWebサイトに掲載してご利用ください!
ふぅらくん
Copyright ©Japan Health Insurance Association. All Rights Reserved.